悪心・嘔吐
 
小暮堅三博士 小暮医院 順天堂医大外科



順天堂外科で手術した患者で悪液質におちいった状態のものを選び1日500〜600ccのアルカリイオン水を2〜3週間内服させてその効果を検討した。

その結果、悪心、嘔吐はほとんど1〜2日で改善され、お茶牛乳、、水道水などほとんど嘔吐する患者でさえも、アルカリイオン水は嘔吐せずに飲める。
全身違和感、倦怠感は著明な改善がみられず、わずかに有効。
腹痛、不定痛は2、3の患者に著しい効果を示すものがあったが、不変のものもかなりあった。
体重減少には無効。がん性腹膜炎による腹水の貯留については非常に著効を示し、尿量の増加とともに腸マヒの改善されるものもみられた。

次に股動脈より採血した動脈中のpH、P2O3(血中O2分圧)アウストラップpHメーターで、アルカリイオン水内服前後の関係を調べてみると、pHそのものにはほとんど変化はなく、半数以上に血中酸素分圧の上昇が認められた。つまり、血中に入ったアルカリイオン水が何らかの働きによって肺における呼吸代謝を円滑にし、酸素分圧の高い血液が循環するために各組織の組織呼吸が活発になると同時に、細胞のエネルギー代謝がさかんになるものと推論される。

具体例を一つ紹介しておこう。患者は八王子に住む奥○という建設業者。6年前に順天堂外科で胃がんの姑息的手術をおこない、6ヶ月後、がん性腹膜炎のためにマヒ性イレウスを起こして再入院してきた。
腹部膨満し強い悪心、嘔吐を訴えていた。鎖骨上部にVirchowのリンパ腺転移を認めたので、試験切除して病理学的に調べたところ胃がんの転移だった。

特別にほどこす処置もなく、アルカリイオン水を1日600cc位内服させたところ、4日目ごろより症状が改善され、悪心、嘔吐もとれ、腹部膨満感も訴えず、2週間後には病院食もほとんど全部食べられるようになった。40日の入院で元気に退院、今も元気に働いている。





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