第7回機能水シンポジウム  2000東京大会 -アルカリイオン水の骨形成と維持におけるアルカリイオン水の影響

アルカリイオン水の骨形成と維持におけるアルカリイオン水の影響

○高橋 玲、張 震華、糸川嘉則
京都大学大学院医学研究科病理系腫瘍生物学講座
福井県立大学看護福祉部



Effects of Calucium Alaline Ionized Water on Formation and Maintenance of Bone Tissure

○Rei Takahashi, Zhenhua Zhang, Yoshinori Itokawa
Department of PPathology and Tumor Biology
Graduate School of Medicine
Kyoto University
Fukui Prefectural University



  Effects of calcium Alkaline ionized drinking water on the formation and maintenance of bone tissue in rat were investigated. In the absence of calcium in the diet, no obvious calcification was observed, and inly osteoid formation was prominent. Striking difference was found in the froups with diet of 30% and 60% calcium; rats with calcium alkaline ionized water showed least osteogenesis disturbance. These results may indicate that calsium in drinking water may effectively supplement osteogenesis in case of dietary calcium deficiency. Theeffects of ionized water on formation and maintaining of bone during aging were also demonstrated. The mechnisms involved in these effects will be discussed.


 骨梁の減少と骨の微細構造の劣化によって骨組織は脆弱となるが、その原因としてカルシウム(Ca)の摂取量の不足、腸管からのCa吸収率の低下、尿中Ca排泄増加などが考えられる。腸管からのCa吸収は生体側の要因のみならず、摂取されたCaの物理的性質に大きく影響される。そこで、我々はCa摂取時の水の性状に着目し、アルカリイオン水を用いることによって、生体骨の形成と維持に対する影響を解析した。骨は新しく形成される場合のみならず、形成後もその維持のために規則正しい代謝を行って古い骨を吸収し、新しく骨形成を繰り返す。結果として骨の強度を維持し支持組織としての機能を発揮している。これらの働きを細胞レベルで見ると、骨の改変remodeling は活性化(activation)、吸収(resorption)、逆転(reversal)、基質形成(matrix synthsis)、石灰化(mineralization)という過程を経る。このような骨代謝に何らかの異変が生じた場合には、物理学的、化学的な面からのみならず、形態学的にも異常をとらえることができる。実際に、我々は当初アルカリイオン化カルシウム水(イオン水)が骨代謝の反応系に与える影響とその効率について骨量の変化を重点に解析してきたが、更に組織学的な面からアルカリイオン水の骨形成への影響を見出した。実験として、アルカリイオン水、水道水、乳酸カルシウム水をラットに与えて、骨形成の形態学的及び動態学的変化について比較検討を行った。今回はさらに、老化に伴う骨の弱体化が生じる際にアルカリイオン水がどのような影響を与えるかについて解析した。
 骨形成:3週令のWister 系雄性ラットを飼料と飲料水の条件から12群に分けた。飼育飼料は常飼料中のCa量を100%とし、0%、30%、60%、100%のCaを含有する飼料を作成し、自由摂食とした。飲料水は3種類、すなわち水道水(市水約6ppmのCa) 、乳酸カルシウム水(40ppmのCa)、及びアルカリイオン水{40ppmのCa、pH=9 ㈱オムコ・OMC製アルカリイオン整水器NDX-4LMC、改良型}を自由飲水させた。体重、飲水量、飼料摂取量及び飲料水中Caの含有量を毎日測定した。19日目と、25日目にネンブタール麻酔下で採血し、脛骨、上腕骨、大腿骨を摘出し、非脱灰標本を作成しVillanueva stain 及び Villanueva Goldner stain にて骨形態及び骨回転を観察した。
 同一飼料中Ca摂取量群で3種類の飲料水を飲用させた各群について比較したが、体重増加率、飼料摂取量、飲水量には有意の差は認められなかった。脛骨と上腕骨重量及び骨中のCa濃度はアルカリイオン水投与群において有意に高かった。
 飼料中Caが0%群では類骨の占める割合が著しく増大した。飲料水間でのさは著しくなかった。また、テトラサイクリンの取り組みは脛骨、上腕骨では殆ど認められず、大腿骨においてわずかに見られた。従って結果的には骨形成は類骨形成まで見られるが、石灰化がほとんどおこっていないか、あるいは新生骨の大部分が吸収されている可能性が示唆された。
 飼料中Caが30%と60%の群では、水道水<乳酸Ca水<アルカリイオン水の順にテトラサイクリンの取り込み帯の増大が確認でき、しかも鮮明度が増大した。特に、水道水ではテトラサイクリン取り組み帯に不規則性が目立った。飼料中Ca/100%の群では、水道水<乳酸Ca<アルカリイオン水の順に骨形成が改善される傾向はわずかにみられたが、いずれにおいても、形成された骨の形態はほぼ正常に近い良好といえるものであった。
 飼料中のカルシウムが不充分な状態ではアルカリイオン水は骨形成の改善に効果があると考えられた。また、骨形成障害の程度は部位による差が見られた。すなわち、脛骨と上腕骨は骨形成障害が大腿骨にくらべてより高度にみられる傾向があった。
 さらに、アルカリイオン水存在下では腸管からのカルシウム吸収効率、腎臓からの排泄調節、副甲状腺機能調節などを介して骨代謝に変化が生じる可能性が推定されるが、血中Ca濃度に大きな変化は見られなかった。

 骨組織の維持 : 次に同様の実験をマウスで再現し、さらに一度形成された骨組織が老化とともに脆弱化する過程におけるアルカリイオン水の影響を示すかを検討した。Ball/c系マウス5週令の時点からアルカリイオン水、乳酸Ca水、MilliQ水にて飼育した。飼料中のCa量は通常量で一定とした。10ヶ月の時点でマウスから大腿骨を採取し、Villanueva stain 及び Villanuva Goldener stain にて骨を測定した。さらに、別の実験において6週令でmating をして妊娠中および出生後まで連続的にアルカリイオン水、乳酸Ca水、MilliQ水を区別して飼育した。アルカリイオン水の作成には松下電工社製整水器TK781型を用いた。

以上により骨形成のみならず、骨組織の維持においてもアルカリイオン水は脆弱化を軽減する働きがみられた。骨代謝その他の機構との関連を含めて結果を検討する。 * サイトマップ

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