第7回機能水シンポジウム  2000東京大会 -アルカリ性水長期飲用によるマウス成長過程への影響

アルカリ性水長期飲用によるマウス成長過程への影響

○鈴木 政美1)、鈴木 正彦2)、仁科 正美3)、富永 信子1)
1)埼玉医科大学中央研究施設実験動物部門、2)薬理学、3)医動物学



Effect of elctrolyzed alkaline water intake for the long-term on the mice growth process.

○Masami Suzuki1), Masahiko Suzuki2), Masami Nishina3) and
Nobuko Tominaga1)
1)Division of Laboratory Animal Medicine, 2)Dept. of Pharmacology,
3)Dept. of Medical Zoology,Saitama Medical School.


   Electrolyzed alkaline water,which is obtained from conventional tap water has been used by many people for healthy drinking water and for medical practices.  Despite thi water has been drunk for the long-time, the effects of the water on the grouth process have not been ewported.
   We examined the effects of the electrolyzed alkaline water (pH9.5) on body weight,food intake, water intake and life span for two years in mice.  ICR male three weeks old were devided two groups (tap water intake and electrolyzed alkaline water intake). Electrolzed alkaline water intak was started at four weeks old and fineshed at 132 weeks old. Food and water intake of electrolyzed alkaline water intake group were significantly higher than tap water intake group.  There was 537±47 and 518±42 in electrolyzed alkaline water intake group and tap water intake group, respectively.  These results suggest that electrolyzed alkaline water intake may be affected on the growth process in mice.




 水を電気分解することによって陰極側に生成される機能水(以下、アルカリイオン水)が世に出て40数年を経過するが、10年ほど前よりアルカリイオン水に対する関心と需要が民間で「健康に良い水」ということで高まり始め、加えて胸やけ、胃部不快感、腹部膨満感、下痢、便秘などの消化器症状に有用であるとの臨床効果が確認された。以後、現在に至るまで作用機序の本態を科学的に解明すべくそれぞれの分野で研究されている。このアルカリイオン水整水器は市中にかなりの数出まわっておりその飲用者は200万人を超えているとさえいわれている。また、農薬等による環境汚染から飲料水への影響が懸念され、水道水の代わりにペットボトルや缶入り飲料水を飲用する傾向が若者達から増えてきており、このアルカリイオン水も今後さらに飲用者が増加することが予想されている。従って、アルカリイオン水の臨床効果の解明とは別に10年、20年に渡って長期飲用した場合の生体への影響についても検討する必要があると考える。そこで我々はライフスパンの比較的短い実験動物のマウスを用い、ほぼ一生に相当する期間(約2年間)に渡りアルカリイオン水を飲用させ成長過程への影響を調べたので報告する。

【 実験方法 】
 3週令のICR雄性マウスを購入し、4週令から113週令まで水道水(21匹)またはpH9.3~9.9のアルカリイオン水(22匹)を餌(PM1:ローデントラボダイエット)と共に自由摂取にて飲用させた。外貌所見の観察に加え週1回体重、摂取量および摂水量を計測した。尚、飼育環境は12時間明暗切替え(朝7時~夜7時:明、夜7時~朝7時暗)飼育室で室温23±1℃、湿度50±5%を維持した。

【 実験結果 】
 平均体重増加率は水道水群とアルカリイオン水群の間で飲用を開始した4週令から78週令までまったく差が認められず、84週から113週令に掛けて両群の間に若干の変動が認められたが、全経過での体重の増加率に有意差は認められなかった。(分散分析)。一方、飲水量および摂取量は4週令から113週令までの期間アルカリ性群が水道水群に比べ常に有意に多かった(分散分析)。113週令で飲用を打ち切り(生存分散:水道水飲用群2匹、アルカリイオン水飲用群7匹)Kaplan-Meler法にて生存分析を実施した結果、推定平均生存日数は水道水飲用群518±42日、アルカリイオン水飲用群537±47日であり、また推定75%死亡日数は水道水飲用群669±50日、アルカリイオン水飲用群768±0日であった。

【 まとめ 】
マウスのほぼ一生に相当する期間(約2年)に渡り水道水とアルカリイオン水とを飲用させた結果、両群に体重の増加曲線上では特に成長過程への影響は認められなかった。しかしながら、摂取量と摂水量は共にアルカリイオン水飲用群の方が有意に高かった。すなわちアルカリイオン水飲用群は良く餌を食べかつまた水も良く飲むが、肥満体となるような体重増加は認められなかった。このことはアルカリイオン水飲用は脂肪代謝効率などに関係した作用をもつ可能性を示唆する。今回の実験で特記すべき結果は、Kaplan-Meier法による生存分析で推定生存日数に有意差こそなかったものの推定75%死亡日数が水道水群で約670日、アルカリイオン水飲用群が約770日と約100日生存日数が長く、また飲用打ちきり日(768日目)での両飲用群生存数は水道水飲用は2例(約10%)、アルカリイオン水飲用は7例(約32%)であった。また累積ハザード曲線上における加齢にともなう曲線において水道水飲用群の急傾斜な立ちあがりに対してアルカリイオン水飲用群のそれはほぼ横ばいに近かった。この結果はアルカリイオン水の長期飲用は老化予防を併せ持つ可能性を示唆するものである。今後、老化現象に対するアルカリイオン水の効用をさらに検討して行きたい。

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