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水Navi---第四章 最近の臨床治験例

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還元水素水による臨床例

最近の私の治験例のうちから、とくに急性胃炎、それに乳幼児に多い消化不良症、老人を悩ます便秘、身近におこりやすい子どもたちの熱傷やヤケド、治りにくくて手のやける口内炎などについて、電解イオン水《還元水素水》がどのように効果があるか、じっさいの例をあげて治療日数を示してみよう。
 なお、古い治験例についても、第六章の「医師の見たイオン水の効果」のところでふれるので、参照していただきたい。

急性胃炎

前にも述べたように、胃病は暴飲暴食や不摂生にわざわいされておこる場合が多いものである。しかし、カゼや、扁桃炎、中耳炎、その他、おできや化膿性の病気、いろいろな感染症の場合などに、熱さましや痛みどめ、ねむり薬、抗生剤などが使われ、そのために、胃炎をおこす場合もかなり多い。いわゆる「薬害」とでもいうべきもので、ある程度やむを得ないことである。しかし、なかにはむやみと薬好きな人がいる。これはあまり感心したことではない。やはり「餅は餅屋」で、かかりつけの主治医について正しい養生法を教わり、食事の指導を受けて適応加療をすべきである。でないと、“生兵法はけがのもと”で、とかく慢性に移行しやするなる。
表1のように、急性胃炎の症例では、短いので4~6日、特別な2例をのぞいては、たいてい7~14日間で症状が消退し、全治している。電解イオン水《還元水素水》は制酸作用があるので、胃の炎性症状をやわらげ、ゲップや胸焼け、みぞおちの重苦しい不快な症状や胃の痛みなどがすみやかに緩解し、経過や予後もおおむね良好であった。

慢性胃炎

急性胃炎がこじれたりすると、慢性のものになってしまう。こうなると症状が一進一退で、なかなかすっきりしない。人によっては専門の胃腸病院に十数年も通い続けたというケースもある。だが一番大切なことは、なんといっても“薬より養生”である。自分で治す気で取り組まなければ、いつまでたっても治らない。酒、たばこの飲み過ぎはむろんのこと、宴席のつき合いや、夜更かし、夜食、過労や心労、ストレスなどの悪条件を一切断ち切ること。でなければ、胃潰瘍だけでなくいろいろな消火器系の病気が併発し、体質も酸性に傾いて虚弱となり、精神的にも気力に欠けて、およそ健康とは縁の遠いものとなるおそれがある。まことに“胃病は万病のもと”なのである。
表2のように、慢性胃炎の症状でも、短いのは十日、かなり重症と思われるものでも36日で治っている。

消化不良症

前にも述べたとおり、消化不良症はカゼや寝冷え、お乳の飲ませ方、粉ミルクのうすめ方などからおこる場合が多いが、昔ほど多くないとことも事実だ。粉ミルクもだんだん良質なものが出回り、良い薬も多くなったせいであろう。しかし、これにかかると栄養障害になるので、乳幼児にとっては油断のできない病気である。表に示すように、5~10日の経過をたどって治癒するのがふつうである。
ただし、なかには粉ミルクや離乳食など、食養生の誤りや看護の不敵、感冒などの併発によって、月余にわたる場合もある。
消化不良症にかぎらず、一般に下痢をともなう腸の病気では、炎症のため腸内のPHが酸性に傾き、そのため腸内の良性な最近の働きが悪くなって、分解、合成、発酵などに異常をきたす。
アルカリ性の電解イオン水《還元水素水》は、これらを調整するために著効を奏する場合が多いのである。
ことに脱水症状の強いときなどは、補液として欠くことのできない妙薬というべきなのである。

便秘

イオン水が胃腸の蠕動運動を促進し、とくに女性や老人に多い常習性の便秘に効果のあることは、多くの常用者からよく聞かされる話である。
私は、表4に示すように十例の患者についてイオン水を服用させて約1~2週間で治療させたが、うち三例は老齢のため一ヶ月余にわたって使用してもやや軽快しただけで、使用を怠るとまたもとに戻って便秘がちになるという結果に終わってしまった。
べつに腸管に狭窄はないようだから、おそらく足腰が悪くて運動不能のためと思われるので、長期にわたって服用させ観察したいと思っている。
なお、イオン水はPHを9.2以上の濃厚なものを使用すると、時によっては、かえって便秘になることもあるので注意しなければならない。

ヤケドおよび熱傷

ヤケドおよび熱傷には電解イオン水《還元水素水》の酸性液が用いられる。酸性液については、これまでにも研究発表会で、アストリンゼンとして洗髪や美容、皮膚の湿布などにひろく用いられ、さらにヤケド、熱傷、その他皮膚、粘膜の糜爛やかゆみ止め、鎮痛などに数多くの治験例が報告されている。
このほか、たとえば順天堂大学福田外科は、名古屋で開催された外科学会で、ヤケドについて発表しているし、さらに昭和37年7月7日の日本医事新報誌上でも同外科有賀富夫、小暮賢三の両氏は、質問に答えて、つぎのように述べている。
『ヤケドの局所療法に、この電解イオン水《還元水素水》を選んだ理由として、経験的に鎮痛作用、消炎効果の著明なこと、および殺菌力が強いということであり、使用法は、このイオン水に浸したガーゼを傷面にあて、その後は原則としてガーゼを交換することなく、その上から一日2~3回イオン水を噴霧し、分泌物の多い場合は4~5日目ごとにガーゼ交換をおこないます。痛みは塗布後20分で緩解します。さらに三度、四度の重症熱傷に使用した場合、肉芽の再生が良好で、かつ、浸出液の少ないことは、植皮術の前処理としてとくに推奨することのできる方法の一つと考えられますが、至適PHについては現在検討中です。
ただ、この電解イオン水《還元水素水》は時間の経過とともに効力を減ずるという欠点があり、科学警察研究所の国仲寛長氏は、イオン水の電導度を計り、それによると、「褐色ビンに入れ、密栓したものでは一週間ぐらい効力を保つことができるが、しばしば開栓するものでは、電気分解後二日以内に使用すべきである」と述べている』
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表5のヤケドおよび熱傷の症例では、軽い場合でだいたい5~6日、第三度以上の重症例でも2~3週間で治癒し、しかもその経過中に肉芽の発育がひじょうによく、治癒後の瘢痕(ケロイド状のひきつり)などのいまわしい症状を遺す例が全くなく、その効果は顕著である。これは電解イオン水《還元水素水》の臨床の実際を知る人でなければ、うかがい知ることのできない現象といえる。

口内炎

よく乳呑児や小児の口の中で、舌やほおの内側の粘膜、時には口唇あたりにもできる赤い緑でアズキ大の白っぽいものが発生して、熱い湯茶や味噌汁などの塩気がひどく滲みるため、物をかんだりするのも痛がってぐずつく場合が多いものである。
カゼや咽頭炎、扁桃炎、それに胃腸の具合などで身体が弱っていて、口腔内が不衛生だとおこりやすいので、まず口の中を清潔にすることが大切だ。
たまには大人もできる場合があり、なかなか頑固で治りにくいものとされているが、電解イオン水《還元水素水》の酸性液を脱脂綿にひたして口の中をときどき拭いてやったり、うがいのできる年ごろの場合は、食後はもちろん、日に5~6回以上うがいさせれば数日で治ってしまうから不思議だ。だいいち、イオン水を塗布するだけで痛みがとれるので、子どもさんにとってたいへんな救いというべきであろう。
表6でもわかるように、口内炎は数日でたいていの場合治ってしまう。一週間としてあるのは一週間分を一度に渡してやっただけだからである。よく聞いてみると「三、四日したら治ってしまったから・・・」と答える人が多く、効果はてきめん。
電解イオン水《還元水素水》の酸性液については、前にもちょっと述べておいたが、赤ちゃんのオシメかぶれ、膣炎や帯下(こしげ)などによる下(しも)のただれやかゆみ、痛み、また、目や鼻など、すべて粘膜の炎症には欠かすことのできない重宝な薬といってよい。

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