脱肛根本術手術体験記/入院二日目

脱肛根本術手術体験記/入院二日目

2002年1月28日

05時30分。

起床。やはり、あまり眠れなかった。いびきや様々な雑音が意外とうるさかった(耳栓を売店で購入していたのに使用するのを忘れていた)。
ここで一週間過ごすのは大変だ。6時点灯なのでそれまでおとなしくベッド過ごす。

06時40分。 排便を誘発する座薬を2個入れる。 
06時50分。 早くももよおし始めたがなるべくガマンして、出し切るようにしなくちゃいけない。腸内をきれいにするために(* 術後判明したのだが、手術した翌日の診察時間〈10時頃〉まで排便をしてはいけない。そのために出し切っておく必要があるようだ)。

今日は手術日(入院翌日)。朝食抜き、水分も取れないのが少々ツライ。手術は10時前後の予定。有名な佐原力三郎先生だからベルトコンベア方式で一人10~20分程度の手術時間で次から次に手術するらしい。「手術時間より、手術室で裸で待っている時間が長い」と隣のベッドの一週間先輩が教えてくれる。
ちなみに私の病室は6人部屋。私のベッドは入って二番目の右側。ようやく朝日が昇ってきたようで、外が明るくなってきた。すぐそこに新宿の高層ビル群が朝もやの中に曇っている。

07時30分。 まだ、もよおさない。院内を軽く散歩し、洗顔し、ひげをあたり、ベッドメイク。もう何もすることがない。昨日家族がテレビ受信のための磁気カードを買ってくれたが見る気がしない。
数日前から読み始めた「竜馬がゆく」(全8巻)の続きでも読むとしよう。

09時15分。 排便完了。思ったほど出なかった。

10時30分。 担当の看護婦さんと歩いて手術室へ移動。
この病院は担当があってないような感じ、その後も診察の度ごとに案内してくれる方が違った。
手術室の入り口で手術室担当看護婦とバトンタッチ。

10時40分。 処置室で、点滴(久しぶりの水分補給だ。昨日の12時から水分補給を禁止されていた。)と手術時の注意を受ける。特に、腰椎麻酔を受けるときの姿勢について----膝をかかえるように抱いて、背中を思いっきり伸ばす感じで、顔はへそを見るように向けて注射を受ける。(この腰椎麻酔の注射は思ったほど痛くなかった。)この時説明をしてくれた看護婦さん(ポリネシア系美人)も、とても感じが良い方だった。この病院はほとんどの看護婦さん洗練されている。

10時50分。 いそいそと歩いて手術室へ移動。この間、別の看護婦さんが緊張を和らげるためか、麻酔時の注意の再確認をしてくれる。この方も感じよし。吸いこまれるような瞳の東洋系の美人か?(マスクで顔を覆っていたため定かならず)

10時51分。 いよいよ手術室に入る。広い(20畳位か)。明るい。これが第一印象。アコーディオンカーテンで仕切られた隣の部屋では別の患者さんの手術が行われている模様。
緊張を和らげ、不要な会話を聞かさないためのBGMが静かに流れている中、ハイテンションでチャーミングなもう一方の看護婦さんとおしゃべりしながら(その間しっかりと説明もされる)佐原先生の登場を待つ。担当医の佐原力三郎部長医師は本日13名の手術を受け持たれるとのこと。職業とはいえ、大変な作業だろう。因みに、副院長(岩垂先生)だと20名くらいをこなされるという。名医は体力勝負だ。

11時05分。 お髭の担当医(佐原部長)、たった今隣の部屋で終わったばかりなのに、さわやかに登場。さっそく私の背中の消毒を始める。教わったポーズをとり、麻酔注射。
打ち終わったと思った瞬間、身体の位置を調整されうつ伏せに、ベッドの下半身部分を下に傾斜(くの字型)させ、手術しやすい体勢にする。この手際の良さにほとほと関心。麻酔が効いた(注射後30秒程度?)のを確認後、さっそく手術開始の模様?
まったく模様と言うほかなく、何かされている感じはあるものの、何をされているかちっとも分からない。当然痛みも感じない。途中首がだるくなる程度で一切の痛みもなく、いとも簡単に手術終了。黒い瞳の美人看護婦さんに実質手術時間を聞く。「17分間でした。」平均より長かった。(理由は後日判明)

麻酔はすごい。だから、怖い。依然読んだ本に「麻酔は経験学である。何故効くか完全に解明されていない。」とあったのを思い出してしまった。

11時30分。 病室へ戻る。この時、麻酔が効いているため下半身が一切動かない。ストレッチャーから自分のベッドに移動するのにも二人の看護婦さんの手を借りないとやれない。不随の方の苦労をちょっぴり体験できた。

これから2時間、一切の飲食禁止。しかも、6時間は頭を上げること、起き上がることを禁止される。排尿のために尿瓶を渡された。

11時30~。 まったく動かなかった足が段々と動かせるようになっていくことが嬉しく、小刻みに揺らしてみたり、上げ下ろししてみたりで最初の2時間は結構時間がつぶせた。
時計の針が13:30を指した時点で焦るように水をいただく。足の麻痺はほぼ回復したようだ。しかし、これからあと4時間、頭を持ち上げられない。結構苦しい。痛みが出てきた。
この間、尿意らしきものを感じるため尿瓶を使おうとするのだが、一向に排尿できない。尿意があるにもかかわらず排尿できないこのもどかしさ、辛さも今までにない体験だ。しかも、看護婦さんから自身で排尿できない場合は導尿すると言われているのでなおさら不安になる。何度かチャレンジしたが結局尿瓶にはできなかった。

16時30分。 家内と息子が見舞いのために来院。
ありがたい。これで若干でも残り時間を過ごし安くなった。着替えその他を持参してくれた。痛みが激しくなった。

17時30分。 這うようユックリとトイレへ。どうにか若干量の排尿を見ることができ、一安心。導尿(ペニスに管を挿入して強制的に排尿させる方法)の恐怖から開放された。

18時00分。 夕食の献立内容を確認して、家族帰宅。動くことができないため、見送りはなし。

18時30時。 食事後待望のクスリ。痛み止めの効果が待ち遠しい。

23時30分。 激しい痛みが一向に衰える気配がない。痛み止めをもう一錠追加する。

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